パリ行きの飛行機で7.8年ぶりくらいにカミュの「ペスト」を読んだ。何度も読んだのだからそう心は動かなかったが、夕方の空を緑色の空と描写していたことが気になった。言われてみればパリの夕方は緑色だったかもしれない。
ルールマランは人が少なく、多くの店は閉まったままだった。平日は地元民しかいないため店を閉めているのだろうか。観光センターでヨガをするマダム達、常連とトランプゲームに勤しむカフェの男主人、カフェで行なわれる婦人会と、そのうち1人のマダムが連れてきたシーズー犬は主人の言いつけを守り、静かに寝そべっていた。あらゆる風景は退屈な田舎村のそれだった。俺は一刻も早くこの村を後にしたかった。
目的だったカミュの墓は想像通りのもので、他のどの墓よりもシンプルで宗教的な装飾の一切は避けられていた。小さな石にアルベール・カミュと刻まれ、そこらの石には世界中の読者が様々な言語でメッセージを残していた。例に倣い、空き瓶に差し込まれ雨に濡れた鉛筆で「ありがとう」と書き残した。それは少し恥ずかしいことだったから、近く降る雨が洗い流すことを願い、墓地を後にした。


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